2025年度 全日本吹奏楽コンクール課題曲

普段慣れ親しんでいる西洋音楽は７つの音から成る音階を基本としているが、日本的な音楽ではD 音を基音においた５つの音から成るものがほとんど。 Andante部はほぼ陰旋法（あるいは都節音階？）の構成音のみで奏される。 変位音は僅か。 調号的には g moll だけど、基音は D音。 解説にある「音色の変化」というのは本当にそうで、水墨画のような微妙な陰影はとても難しいだろうな。Allegro部の変拍子よりよっぽど難しいだろうな。 m.21-22にしか臨時記号が登場しておらず、色合いの変化ではなく移り行くのは濃淡。 なので、水墨画でい…

カプリッチョとは「気まぐれ」を意味するイタリア語、日本語では奇想曲。 いきなり話が逸れるけど、ソナタ=奏鳴曲とかフーガ=遁走曲などなど、こういう訳を考えた人って本当に素晴らしい。 順次進行とは隣の音への移動であり、何ら珍しいものではない（それ以外は全て跳躍進行 / 音が変わらないことは同音進行あるいは保留）。 だけど、この縛りを自らに課しての作曲とは、相当にハードル高いなぁと感じる。 日常会話で英語禁止、的な。。違うか。 冒頭から実に19小節もの間、属音である F音が持続。 m.20（練習番号A）まで “持ちこ…

夏まで、思ったことを追記していきます。 第一マーチ ４小節かけて和声的にクロマティックな下降（トロンボーン１の小節頭の音を見ると分かりやすい）、 その後２小節で、これまたクロマティックに上昇という対比の見事なイントロ。 m.2, m.4 はどちらも属七に収まるのだけど、第３音（かつ、メロディラインに対するハモリ）を取るパートがちと心細い。テナーサックスおよびトランペット３のみ。 m.5-6 ホルン、ユーフォ、アルトクラの半音階進行、最後は二分音符で保持されるけれど、しっかりm.7 までcresc.したいところ。 （後半…

冒頭 「宇宙への憧れ、夢を表現」しているけど「弱々しくなく」という言葉通り。 ベースが10小節ものあいだ Es音を保持しているが、これは属音。 主音である As音であればとても安定するのだけど、それでは憧れや夢への推進力が表現できないのだろう。 調性としては As dur だけど、リディア旋法を基にしているので D音にフラットはつかない。 調性を決定付けない流れも浮遊感の演出には不可欠。 同じ和声進行を５回繰り返すというのはなかなかすごいな、とは個人的に。 ８小節目の三連を除いて、非和声音すら登場せず。 初めて聞い…

今年も吹奏楽コンクール課題曲が話題になる季節がやってきた。 （ウラでは来年の課題曲の選定が始まっている） 職業柄、「誰の曲か」をやっぱり最初に見てしまう。 今年は非常に面白い４名。 ２曲が連盟の委嘱で、もう２曲が公募から選ばれたもの。 この公募を勝ち抜いてきたお二方の経歴を見ると、（ご年齢からの判断のみではありますが）なかなか両極端。 学生さんと校長先生・・！ 吹奏楽経験者なら誰もが知る某有名作曲家先生が仰っていて、非常に印象に残っている一言がある。 曰く「誰しも（世に）出るタイミングというものが…